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おいしい魚の話

vol.2「″魚の旬″とは」

おさかなマイスター認定No.0075 加川 厚子

実は奥深い、"魚の旬"の世界。

おいしい魚を食べるなら、やはり旬の魚が一番でしょう。魚の成分は季節や成長に伴って変わり、うまみ成分が一番多い時を一般的に旬と言います。うまみ成分が多くなるのは、子孫を残すために親がグリコーゲンや脂質、アミノ酸などをため込む産卵前。この時期は、外洋や海底をすみかにしている魚でも沿岸に寄って来ることが多く、漁獲しやすくたくさん獲れるため、私たちにとっても好都合です。

しかし私たちは、産卵前の魚だけをおいしいと言って食べているわけではありません。たとえばアユのように寿命が一年しかない魚は、「若アユ」「成魚」「落ちアユ」といってそれぞれの大きさを楽しみ、寿命が長い魚は、大きさによっていろんな名前を付けておいしく食べています。これを出世魚と言います。また、地方によって、好む魚の大きさや獲れる時期が違うこともあり、「この魚の旬はいつ」と一言で決めるのは難しいものがあります。旬は魚が教えてくれるのです。

写真1

漢字を見るだけで、旬が分かる魚たち。

魚の名前を見るだけで、「旬はいつか」がわかる魚があります。今回はそんな魚をご紹介しましょう。

●鰆(サワラ)

魚偏に春でサワラ。まるで春の代表のような魚ですが、関東では寒ざわらと言って冬を旬とし、関西以西では字の通り春を旬としています。主な産地は、福井、京都、長崎、福岡、石川など。暖流を回遊していますが、夏は内海や内湾で過ごし、秋から冬にかけてまた外海域に出ていきます。産卵期は、瀬戸内海では5~6月。一年で40センチ、3年で7,80センチぐらいに成長し、寿命は7~8年です。50センチ以下の小さいものはサゴシと呼ばれています。皮は青いですがクセがなく、刺身はもちろん塩焼や酒蒸し、照り焼きやムニエルにもします。大量に獲れると値段が安くなるので、西京漬けや醤油漬けにしておくのもおすすめです。卵も美味で、(代用)カラスミの材料にもなります。

●春告魚(ニシン)

春告魚(ニシン)は鰊とも書きます。かつては、サハリンやオホーツク海、千島列島あたりを回遊していたニシンが産卵のため、まだ雪の降っている3月の北海道に大群でやってきていました。これを期に漁師たちは春の活動を始めるので、ニシンは漁師たちの春告げ魚でしたが、今はめっきり獲れなくなってしまいました。
大きさは1年で15センチ、5年で30センチ。イワシが左右に扁平になった形で、皮も身もウロコも傷つきやすく柔らかです。寿命は10年ぐらいですが、大部分は4年で成熟します。ニシンの卵はご存じ、お正月のおせちに欠かせない数の子ですが、最近では、カナダやロシアからの輸入物ばかりになっています。

北海道産の生のニシンが手に入ったら、やっぱり塩焼にして食べたいものです。子持ちのニシンだったらよく焼いて、ぜひ子(卵巣や精巣)も食べてください。子はマコ(卵巣)より白子(精巣)のほうがまったりして美味しいと思います。また北欧のカナッペの定番、マリネもおすすめです。もともと一度に大量に獲れ、傷みも早かったので、身欠きにしんにするほかは肥料にされていた不遇な魚です。今でも、お正月の昆布巻きに入れたり、甘露煮にしたり、ナスと煮たりと、身欠きにしんは大切な食材です。

●秋刀魚(サンマ)

「刀」が使われる魚には太刀魚(タチウオ)がいます。体中が銀白色のすらりとした形の魚です。サンマは、背面は青みを帯びた黒色、腹面が銀白色にきらきら光り、細身で、確かに刀のようです。夏までをエサが豊富な親潮水域で過ごして南下するので、脂肪が多い肥ったサンマは、まず北海道の根室から襟裳岬で獲れ始め、三陸、銚子沖と下ってきます。まさに秋本番の魚ですが、紀伊水道に行く頃には脂は減っています。
鮮度が良いものは刺身にもしますが、やっぱり塩焼が一番でしょう。脂肪が多いサンマは、ぶつ切りにして煮つけてもなかなかいけます。開き干しや缶詰にも加工されます。

●鮗(コノシロ)

魚偏に冬でコノシロ。ニシン科の魚で、体に何列もの黒い斑点があり、25センチぐらいまで成長します。脂がのってくるのは秋から冬です。なじみのない方が多いかもしれませんが、6~7センチのものは寿司屋の「シンコ」、少し大きくなると、正月料理に出てくる「粟漬け」の「コハダ」、といったらおわかりでしょう。熊本ではコノシロの姿ずしが有名です。塩焼きにもしますが、たいていは酢〆で食べています。コノシロは伝説が多い魚で、魚偏に祭と書くこともあります。

●鱈(タラ)(マダラ)

雪の頃に獲れることからこの字があてられたのでしょう。タラは12月から3月にかけて、産卵のため沿岸にやってきます。北海道、宮城県、岩手県、青森県、福島県が主な産地で、寒い夜の鍋物には欠かせない魚。味が淡白なので、バター焼きやフライなどにも向いています。水分が多いので,昆布〆にしたり、鍋物も一塩して身をしめてから使うと扱いやすいでしょう。粕漬け、味噌漬けにも適しています。また、キクコなどともいう白子(精巣)は鍋の具や吸い物、酢の物に珍重されます。たらこと言われている塩漬けは、スケトウタラの卵です。

  • サワラ
    サワラ
  • ニシン
    ニシン
  • サンマ
    サンマ
  • タラ
    マダラ

おさかなマイスターとは、魚介類の旬、栄養、産地、漁法、調理、取扱方法などを学び、さかなの魅力や素晴らしさを伝える「さかなの伝道師」です。

日本おさかなマイスター協会のWebサイトはこちらから。