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おいしい魚の話

vol.4「貝の旬」

おさかなマイスター認定No.0075 加川 厚子

ふっくらおいしくなる、貝の旬。

前回、前々回はさまざまな魚の旬についてご紹介しました。今回は番外編として、代表的な貝の旬を取り上げます。旬の時期の貝は、身がふっくらと大きくなり旨味も増すため、旬がいつか、どんな特徴があるのかを押さえた上でおいしく召し上がってください。

●アサリ

味噌汁やスパゲッティによく使われる二枚貝の代表、アサリの旬は一般的に春ですが、関東以南では産卵期が春秋の2回あるので、秋も旬になります。干潟で簡単に獲ることができますから、潮干狩りで獲った思い出がある方も多いでしょう。水ぬるむ春、大潮と重なって日中にもっとも潮が引く日が潮干狩り日和です。
残念ながら干潟が減ったせいか、1980年代前半には12万トン以上あった漁獲量は、現在は3万トンぐらいに減ってしまいました。いま売っているアサリの半分以上は輸入品です。

●ハマグリ

表面がツヤツヤと光沢がある貝です。旬は春で、以前はアサリと同じように干潟で獲れましたが、東京湾や東日本ではほとんど獲れなくなりました。現在は、やや小粒のシナハマグリが各地で利用されています。
二枚貝が外れると他の貝とは合わないことから、夫婦円満の象徴として、結婚式や、女の子の節句のひな祭りに人気がある貝です。

  • アサリ
    アサリ
  • シナハマグリ
    シナハマグリ

●バカガイ

アオヤギとも呼ばれます。名前はバカガイですが高級食材で、オレンジ色の足の部分は「アオヤギ」、貝柱は「小柱」と分けて売っています。産卵期は3~9月。冬から春にかけてが特においしい貝で、すしだねとしても人気があります。

●ホタテガイ

主な産地は北海道や青森の冷たい海で、養殖も盛んです。貝柱が大きいのが特徴で、主に貝柱の部分を食べます。貝柱が重く、グリコーゲンが一番多いのは8月です。
殻つきのほか、殻を取って、貝柱とひもを別々に売っていることもあります。生のほか冷凍、ボイル、干し貝柱など加工品も多く、日本でいちばん消費量が多い貝です。内臓が付いたままボイルしたものは甘辛く煮つけるとおいしくいただけます。

●カキ

いちばん出回っているのは「マガキ」。旬は冬から春先。グリコーゲンが多く栄養が豊富なので、海のミルクと呼ばれています。産卵期が6~8月で、産卵後は身がペチャンコになりますが、冬にはまた太ってきます。「イワガキ」が夏おいしいのは、産卵期が8~10月だからです。カキには「生食用」「加熱用」という表示がついていますが、生食用は、出荷前に紫外線で殺菌した海水で飼育浄化したもので、鮮度とは関係ありません。

※殻つきの貝は生きているのが命、死んだ貝は食用になりません。

  • ホタテガイ
    ホタテガイ
  • マガキ
    マガキ

おさかなマイスターとは、魚介類の旬、栄養、産地、漁法、調理、取扱方法などを学び、さかなの魅力や素晴らしさを伝える「さかなの伝道師」です。

日本おさかなマイスター協会のWebサイトはこちらから。