晴れの日のごちそうとして親しまれてきた岡山のチヌ
新メニュー開発や販路拡大で再注目。
岡山県が誇る「おかやま旬の魚」総選挙で秋の旬の魚No.1に輝いたチヌ(黒鯛)は、古くから「前浜の高級魚」として岡山の食卓を彩ってきた魚です。
岡山県では、メバルやママカリといった小魚が日常的に食べられてきましたが、大ぶりのチヌは、スズキやマナガツオに並ぶ晴れの日のごちそうとして親しまれてきました。行商人によってもたらされたチヌは、その存在感で岡山の豊かな魚食文化を支えてきたのです。
脂のりの良さと安定的な流通ができる養殖マダイが増えてきたことにより、チヌの流通量が減少した時期もありましたが、近年はその美味しさが見直され、消費拡大に向けた取り組みが活発に行われています。JF岡山漁連では、給食などの地産地消の食育や販路拡大を通じて、漁師が再び積極的にチヌを漁獲するよう働きかけています。また、県内の高校生が考案した新たな食べ方が県庁食堂のメニューに加わったり、首都圏の食品宅配サービスで販売が開始されたりと、多様な形でチヌの魅力が発信されています。
特に、チヌを用いた「岡山海の幸ブラック丼」は、2024年度の第10回Fish-1グランプリで準グランプリを受賞するなど、その美味しさは全国的にも認められています。こうした消費拡大の動きは、近年問題となっているチヌによる養殖ノリやカキの食害対策にも繋がっています。
黒鯛は、全国各地で様々な呼び名を持つことでも知られていますが、岡山県を含む瀬戸内海沿岸では「チヌ」の愛称で親しまれています。また、成長に伴って性別が変わる雌雄同体という珍しい特徴も持っています。
岡山県では年間を通してチヌが漁獲され、店頭に並びますが、秋から冬にかけてが最も美味しい旬の時期です。この時期のチヌは、産卵に備えて豊富な餌を食べるため身が太り、脂の乗った白身はマダイにも劣らないほどの旨味があります。刺身や塩焼きにするとその美味しさが際立ち、まさに絶品です。
岡山の豊かな海が育んだチヌを、ぜひ様々な調理法で味わってみませんか?
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